「保険は入ったほうがいいの?」「会社の先輩に勧められたけど、よくわからないまま契約してしまった」。20代後半〜30代前半は、保険について初めて真剣に考えるタイミングです。しかし保険は種類が多く、営業トークに流されて不要な商品に加入してしまうケースが後を絶ちません。この記事では、保険の基本的な仕組みと、自分に本当に必要な保障を見極めるための考え方を解説します。
そもそも保険は「何のために」入るのか
保険の本質は「めったに起こらないが、起きたら経済的に致命傷になるリスク」に備えることです。風邪で病院に行く程度の出費なら貯蓄で対応できますが、大きな手術で数十万円の自己負担が発生したり、一家の大黒柱が亡くなって収入が途絶えたりするような事態は、貯蓄だけではカバーしきれない場合があります。
逆に言えば、貯蓄で対応できるリスクにまで保険をかけるのは非効率です。保険料は「安心料」ではなく「リスク移転のコスト」です。必要な保障を見極め、不要な保障は削る。これが保険選びの大原則です。
保険の種類を理解する
保険は大きく分けて「生命保険」と「損害保険」の2つがありますが、ここでは個人が検討すべき主要な保険に絞って解説します。
| 種類 | 保障内容 | 必要な人 |
|---|---|---|
| 定期保険(掛け捨て) | 死亡時に保険金が支払われる。保障期間が決まっている | 扶養家族がいる人(配偶者・子ども) |
| 終身保険 | 死亡時に保険金が支払われる。一生涯保障が続く | 葬儀費用の準備、相続対策が必要な人 |
| 医療保険 | 入院・手術時に給付金が支払われる | 貯蓄が少ない人、自営業・フリーランス |
| がん保険 | がんと診断された場合に一時金・治療費が支払われる | がん治療の先進医療に備えたい人 |
| 就業不能保険 | 長期間働けなくなった場合に収入を補填する | 自営業者、住宅ローンがある人 |
独身で扶養家族がいない場合
正直に言うと、独身で扶養家族がいない20代〜30代前半の人に、高額な生命保険は不要です。自分が亡くなったときに経済的に困る人がいないからです。最低限の医療保険、あるいは医療保険すら不要という考え方もあります。高額療養費制度を前提にすれば、貯蓄が100万円以上あれば当面の医療費はカバーできます。
結婚した・子どもが生まれた場合
家族ができたタイミングで最も重要になるのが「死亡保障」です。世帯の稼ぎ手に万一のことがあった場合、残された家族が生活に困らないだけの保障が必要です。定期保険(掛け捨て型)なら月額数千円で数千万円の死亡保障を確保できるため、コストパフォーマンスに優れています。
必要な保障額の考え方
「保障額はいくらが適正か」は、一律には決められません。家族構成、年収、貯蓄額、住宅ローンの有無、配偶者の就労状況によって大きく変わります。基本的な考え方は以下のとおりです。
- 遺族の生活費を計算する — 現在の月間生活費の70%を目安に、末子が独立するまでの年数を掛ける
- 公的保障を差し引く — 遺族基礎年金、遺族厚生年金の支給額を確認する
- 既存の資産を差し引く — 預貯金、退職金、住宅ローンの団体信用生命保険(団信)を加味する
- 不足分が必要保障額 — この不足分を民間の保険でカバーする
保険の見直しタイミング
保険は「一度入ったら放置」ではなく、ライフステージの変化に合わせて見直すものです。以下のタイミングで保障内容を再チェックしましょう。
- 結婚したとき — 配偶者の生活保障が必要になる
- 子どもが生まれたとき — 教育費を含めた保障額の上乗せを検討
- 住宅を購入したとき — 団信に加入するため、生命保険の死亡保障を減額できる
- 子どもが独立したとき — 大きな死亡保障は不要に。医療保障を中心に切り替え
- 転職・独立したとき — 会社員から自営業になると公的保障が減るため、就業不能保険を検討
ネット保険 vs 対面保険
近年はネットで完結する保険が増えています。それぞれのメリット・デメリットを整理しましょう。
| 比較項目 | ネット保険 | 対面保険 |
|---|---|---|
| 保険料 | 安い(人件費・店舗費が不要なため) | やや高い |
| 商品のわかりやすさ | シンプルな商品が多い | 複雑な商品も取り扱い可能 |
| 相談・アドバイス | チャットやコールセンターで対応 | 担当者に細かく相談できる |
| 加入手続き | Web上で完結。最短即日 | 対面で書類記入。数日〜1週間 |
| 向いている人 | 自分で調べて判断できる人 | 保険の知識がなく、一から相談したい人 |
「保険料の安さ」だけで選ぶならネット保険一択ですが、保険の知識に自信がない場合は、まず無料の保険相談窓口(FP相談)を利用し、自分に必要な保障の全体像を把握してからネット保険で契約する、という使い方が賢明です。
やってはいけない3つの失敗
1. 「とりあえず入っておく」で高額プランに加入
保険営業の定番トークに「若いうちに入ったほうが保険料が安い」「今なら特約がつけられる」があります。事実ではありますが、不要な保障に月々数万円を払い続けるのは貯蓄の機会損失です。必要な保障だけに絞れば、月額数千円で十分な保障を確保できます。
2. 貯蓄型保険を「貯金代わり」にする
終身保険や養老保険には「満期返戻金」がありますが、利回りは極めて低く、途中解約すると元本割れするのが一般的です。「保障と貯蓄は分けて考える」が鉄則です。貯蓄はNISAやiDeCoなどの資産運用で行い、保険は保障目的に特化させましょう。
3. 付き合いや義理で加入する
知り合いの保険営業に頼まれて断りにくかった、という理由で加入するのは最悪のパターンです。保険は数十年にわたって保険料を払い続ける長期契約です。人間関係への配慮で判断する金額ではありません。
まとめ
保険選びのポイントをおさらいします。
- 保険は「貯蓄では対応できないリスク」に備えるもの。万能ではない
- 独身なら最低限の医療保険で十分。高額な生命保険は不要
- 家族ができたら「定期保険(掛け捨て)」で死亡保障を確保するのがコスパ最強
- 高額療養費制度の存在を忘れずに。医療保険を過剰に手厚くする必要はない
- ライフステージが変わったら保障内容を見直す
- 保障と貯蓄は分けて考える。貯蓄型保険より掛け捨て+NISAのほうが合理的
保険は「お守り」ではなく「金融商品」です。感情ではなく、自分の家計とリスクに基づいて合理的に判断してください。社会人3年目でもまだ遅くありません。むしろ、若いうちに正しい知識を身につけておくことが、将来の家計を守る最大の保険です。