「老後のためにお金を増やしたいけど、NISAとiDeCoって何が違うの?」。資産運用に興味を持ったとき、最初にぶつかる疑問がこれです。どちらも税制優遇のある制度ですが、目的も仕組みも大きく異なります。この記事では、両者の違いをシンプルに整理し、あなたがどちらから始めるべきかを解説します。
NISAとiDeCo、一言で言うと
まず結論から。
- NISA — 「投資で得た利益に税金がかからない」制度。いつでも引き出せる
- iDeCo — 「自分で作る年金」。掛金が全額所得控除になるが、60歳まで引き出せない
ひとことで言えば、NISAは「自由に使えるお金を増やす仕組み」、iDeCoは「老後資金を確実に貯める仕組み」です。目的が違うので、本来は比較するものではなく、両方使うのが最も賢い選択です。
NISAとiDeCoの比較表
| 項目 | NISA(新NISA) | iDeCo |
|---|---|---|
| 対象年齢 | 18歳以上 | 20歳〜65歳未満 |
| 年間投資上限 | つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円(合計360万円) | 職業により月1.2万〜6.8万円 |
| 生涯投資上限 | 1,800万円 | 上限なし(掛金累計) |
| 税制メリット | 運用益が非課税 | 掛金が全額所得控除+運用益が非課税+受取時も控除あり |
| 引き出し | いつでも可能 | 原則60歳まで不可 |
| 手数料 | 口座管理手数料なし | 加入時2,829円+毎月の管理手数料(金融機関による) |
| 投資対象 | 株式・投資信託・ETF | 投資信託・定期預金・保険 |
NISAのメリットとデメリット
メリット
- いつでも売却・引き出しできる — 急な出費が必要になっても対応できる
- 年間360万円まで投資可能 — まとまった金額を非課税で運用できる
- 口座管理手数料がゼロ — 維持コストがかからない
- 売却すると非課税枠が翌年復活する — 2024年の新NISAから導入された仕組み
デメリット
- 掛金の所得控除がない — iDeCoと違い、投資した金額自体は節税にならない
- 元本保証ではない — 投資信託の価格が下がれば損失が出る
iDeCoのメリットとデメリット
メリット
- 掛金が全額所得控除 — 年収500万円の会社員が月2.3万円を拠出すると、年間約5.5万円の節税効果
- 運用益も非課税 — NISAと同じく、利益に税金がかからない
- 受取時にも税制優遇 — 退職所得控除または公的年金等控除が適用される
- 強制的に貯まる — 60歳まで引き出せないので、意志の弱さに左右されない
デメリット
- 60歳まで引き出せない — 最大のデメリット。急な出費に対応できない
- 手数料がかかる — 加入時手数料+毎月の管理手数料が発生する
- 職業によって掛金上限が異なる — 会社員(企業年金あり)は月1.2万円が上限
- 受取方法によっては課税される場合がある — 退職金と合算されると控除枠を超えることも
結局、どちらから始めるべきか
以下のフローチャートで判断できます。
- 生活防衛資金(生活費の6ヶ月分)はあるか?
→ ないなら、まず貯金を優先。投資はその後 - 近い将来(5年以内)に大きな出費の予定はあるか?
→ あるなら、引き出し自由なNISAから - 老後資金を確実に貯めたいか?
→ NISAで余裕ができたら、iDeCoも追加
迷ったらNISAから。引き出しの自由度が高く、手数料もゼロ。まずNISAのつみたて投資枠で月1〜3万円から始め、慣れてきたらiDeCoを追加するのが最も安全なルートです。
始め方は3ステップ
NISAの場合
- ネット証券で口座を開設する(SBI証券、楽天証券が人気)
- NISA口座を申し込む(税務署への届出は証券会社が代行)
- 投資信託を選んで積立設定する
口座開設から取引開始まで、最短で1〜2週間です。
iDeCoの場合
- 金融機関を選ぶ(手数料と商品ラインナップで比較)
- 加入申込書を取り寄せて記入・提出
- 審査完了後(1〜2ヶ月)、掛金の拠出が開始
iDeCoはNISAより手続きに時間がかかります。「始めよう」と思ったときにすぐ始められるのもNISAの利点です。
まとめ
NISAとiDeCoは「どちらが優れているか」ではなく「目的が違う」制度です。自由に使えるお金を増やしたいならNISA、老後資金を確実に貯めたいならiDeCo。理想は両方使うことですが、まずはNISAから始めて投資に慣れるのが堅実です。月1万円からでも、始めた人と始めなかった人の差は10年後に明確に表れます。