「プロテイン」と聞くと、ジムに通う筋トレ好きの飲み物というイメージを持つ人が多いかもしれません。しかし、プロテインの正体は「タンパク質」そのもの。筋肉だけでなく、肌、髪、爪、内臓、免疫機能まで、体のあらゆる部分を構成する栄養素です。この記事では、筋トレをしない人も含めて、タンパク質の基礎知識とプロテインの正しい選び方を解説します。
そもそもタンパク質は何をしているのか
タンパク質は、人間の体を構成する主要な栄養素の一つです。体重の約15〜20%をタンパク質が占めています。体重60kgの人なら、約9〜12kgがタンパク質ということになります。
タンパク質が担っている役割は多岐にわたります。
- 筋肉の合成と修復 — 運動していなくても、日常の活動で筋肉は常に分解と合成を繰り返している
- 肌・髪・爪の材料 — コラーゲンやケラチンはタンパク質の一種。不足すると肌荒れや髪のパサつきにつながる
- 免疫機能の維持 — 抗体はタンパク質から作られる。不足すると風邪を引きやすくなる
- ホルモンや酵素の生成 — インスリンや消化酵素もタンパク質が原料
- 満腹感の維持 — 三大栄養素の中で最も満腹感が持続しやすい。ダイエット中に重要
1日にどれくらい必要なのか
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、成人の推奨量は以下の通りです。
| 対象 | 1日の推奨量 | 体重60kgの場合 |
|---|---|---|
| 一般成人(運動習慣なし) | 体重1kgあたり0.8g | 約48g |
| 日常的に運動する人 | 体重1kgあたり1.2〜1.6g | 約72〜96g |
| 筋トレで筋肥大を目指す人 | 体重1kgあたり1.6〜2.0g | 約96〜120g |
問題は、普通の食事だけでこの量を摂るのが意外と難しいことです。タンパク質48gを食品で摂ろうとすると、鶏むね肉なら約200g、卵なら約8個、納豆なら約6パック食べる必要があります。朝食をパンとコーヒーで済ませ、昼食はパスタ、夜は簡単な自炊という生活パターンでは、1日30g程度しか摂れていないケースも珍しくありません。
プロテインの種類と特徴
市販されているプロテインは、原料によって大きく3種類に分かれます。それぞれに特徴があるので、目的に合わせて選びましょう。
ホエイプロテイン(乳清由来)
牛乳からチーズを作るときに出る「ホエイ(乳清)」を原料としたプロテインです。吸収速度が速く、運動後の補給に最適です。味のバリエーションが豊富で、最も一般的なタイプです。
- メリット — 吸収が速い(約1〜2時間)。必須アミノ酸のバランスが良い。味の種類が多い
- デメリット — 乳糖不耐症の人はお腹がゆるくなることがある
- 向いている人 — 運動する人全般。味を重視する人
ソイプロテイン(大豆由来)
大豆を原料としたプロテインです。吸収速度がゆるやかなため、腹持ちが良いのが特徴です。大豆イソフラボンが含まれるため、美容面でのメリットも期待されています。
- メリット — 腹持ちが良い。乳糖不耐症の人でも飲める。植物性で環境負荷が低い
- デメリット — 粉っぽさが残りやすい。味のバリエーションがホエイより少ない
- 向いている人 — ダイエット目的の人。牛乳でお腹を壊す人。ヴィーガンの人
カゼインプロテイン(乳由来)
牛乳に含まれるカゼインタンパク質を原料としたプロテインです。ホエイとは対照的に吸収速度が非常にゆっくりで、就寝前に摂ると睡眠中もアミノ酸を持続的に供給してくれます。
- メリット — 吸収がゆるやか(約6〜8時間)。就寝前の摂取に最適
- デメリット — 溶けにくい。単体での商品は選択肢が少ない
- 向いている人 — 就寝前に摂りたい人。ホエイとの併用
プロテインを選ぶときにチェックすべき3つの数字
1. タンパク質含有率
1食あたりのタンパク質量を確認しましょう。一般的なプロテインは1食(約30g)あたりタンパク質20〜25gが含まれています。含有率が70%以上あれば合格ラインです。中には「プロテイン」と名乗りながらタンパク質含有率が50%以下の製品もあるので、裏面の栄養成分表示は必ず確認してください。
2. 人工甘味料の有無
多くのプロテインはスクラロースやアセスルファムKなどの人工甘味料で味付けされています。安全性は認められていますが、甘味料の味が苦手な人や、できるだけ添加物を避けたい人は「ナチュラル」「甘味料不使用」のタイプを選びましょう。ただし、甘味料なしのプロテインは率直に言って味が良くありません。続けられるかどうかも重要な選択基準です。
3. 1食あたりのコスト
プロテインは毎日飲むものなので、ランニングコストが重要です。国内大手ブランドで1食あたり80〜120円、海外ブランドの大容量パックなら1食あたり50〜80円が目安です。高価格帯の製品が必ずしも品質が高いわけではないので、タンパク質含有率あたりのコストで比較するのが合理的です。
筋トレしない人のプロテイン活用法
プロテインはあくまで「食事で足りないタンパク質を補うためのサプリメント」です。筋トレをしない人でも、以下のような場面で活用できます。
- 朝食の置き換え — 朝食を食べない人は、プロテイン1杯で手軽にタンパク質20gを確保できる
- 間食として — お菓子の代わりにプロテインを飲めば、空腹感を抑えつつタンパク質が摂れる
- ダイエット中の栄養補助 — 食事量を減らすとタンパク質も減りがち。プロテインで補うことで筋肉の分解を防げる
- 肌や髪のコンディション維持 — タンパク質不足は肌荒れや髪のダメージに直結する。内側からのケアとして
よくある誤解を正す
「プロテインを飲むと太る」は本当?
プロテイン自体のカロリーは1食あたり100〜130kcal程度です。おにぎり1個が約170kcalなので、プロテインが直接太る原因になることはほぼありません。太るとすれば、プロテインを追加した分だけ1日の総カロリーが増えた場合です。食事全体のバランスの中で調整すれば問題ありません。
「プロテインは腎臓に悪い」は本当?
健康な腎臓を持つ人が推奨量の範囲内でタンパク質を摂取する限り、腎臓への悪影響は確認されていません。ただし、すでに腎臓に疾患がある人は、タンパク質の摂取量について医師に相談してください。
まとめ
タンパク質は筋肉だけでなく、肌・髪・免疫・ホルモンなど体のあらゆる機能に関わる栄養素です。普通の食事だけでは不足しがちなので、プロテインで補うのは合理的な選択です。まずはホエイプロテインを1食分、朝食に追加するところから始めてみてください。1〜2週間で「なんとなく調子がいい」という変化を実感する人は少なくありません。