美容・健康

抜け毛が気になり始めたら。今日からできる頭皮ケアの基本

2026.02.24

朝起きたときの枕についた毛、シャワー後の排水口にたまる毛。ある日突然「前より多くない?」と気づいて不安になる。抜け毛の悩みは、多くの場合20代後半から30代にかけて始まります。しかし慌てて高額な育毛剤を買いあさる前に、まずは正しい知識を身につけることが先決です。この記事では、抜け毛の原因を整理したうえで、今日からできる頭皮ケアの基本を解説します。

まず知っておきたい:正常な抜け毛と異常な抜け毛

人間の髪の毛には「ヘアサイクル(毛周期)」があり、成長期(2〜6年)→退行期(2〜3週間)→休止期(3〜4ヶ月)のサイクルを繰り返しています。日本人の髪の本数は約10万本で、1日に50〜100本程度の抜け毛は正常の範囲です。秋(9〜11月)は一時的に抜け毛が増えることも知られています。

問題なのは、以下のような「異常な抜け毛」のサインがある場合です。

日本皮膚科学会の調査によると、日本人男性の約30%がAGAを発症するとされています。AGAは進行性のため、「気になり始めたら早めに対処する」のが鉄則です。ただし、すべての抜け毛がAGAとは限りません。まずはセルフケアを見直し、改善しなければ専門医に相談するのが正しい順序です。

シャンプーの選び方

頭皮ケアの基本はシャンプー選びから始まります。シャンプーの洗浄成分(界面活性剤)は大きく3種類に分かれます。

種類特徴向いている人
高級アルコール系洗浄力が強い。泡立ちが良い。市販品の多くがこのタイプ皮脂が多い人。ただし頭皮が乾燥しやすい人には刺激が強すぎる場合がある
アミノ酸系洗浄力はマイルド。頭皮への刺激が少ない頭皮が敏感な人、乾燥しやすい人。抜け毛が気になる人にはこのタイプを推奨
石けん系洗浄力が強く、すすぎ残しがあるとフケの原因になりやすいナチュラル志向の人。ただしコンディショナーとの併用が必須

抜け毛が気になる人には、アミノ酸系シャンプーが第一選択です。成分表示で「ココイルグルタミン酸」「ラウロイルメチルアラニン」などが記載されているものがアミノ酸系にあたります。価格は市販の高級アルコール系より高めですが、頭皮環境の改善には投資する価値があります。

正しいシャンプーの仕方

良いシャンプーを使っていても、洗い方が間違っていれば意味がありません。以下の手順を心がけてください。

ステップ1:予洗い(1〜2分)

シャンプーをつける前に、38〜40℃のぬるめのお湯で1〜2分かけて髪と頭皮を十分にすすぎます。実はこの予洗いだけで汚れの約70%は落ちると言われています。熱すぎるお湯は頭皮の皮脂を過剰に落とし、乾燥を招くので注意してください。

ステップ2:シャンプーを手で泡立てる

シャンプーを直接頭皮につけるのではなく、手のひらで十分に泡立ててから頭皮に乗せます。原液を頭皮に直接塗ると、すすぎ残しの原因になり、毛穴詰まりにつながります。

ステップ3:指の腹で洗う(2〜3分)

爪を立てずに、指の腹を使って頭皮を優しくマッサージするように洗います。ゴシゴシとこするのではなく、頭皮を動かすイメージです。側頭部から頭頂部に向かって、下から上へ洗い上げると血行促進にもなります。髪の毛ではなく「頭皮」を洗うことを意識してください。

ステップ4:すすぎ(2〜3分)

最も手を抜きがちで、最も重要なのがすすぎです。シャンプーのすすぎ残しは毛穴の詰まり、フケ、かゆみ、頭皮の炎症の直接的な原因になります。「もう十分かな」と思ってからさらに1分すすぐくらいが適切です。特に耳の後ろ、襟足、生え際はすすぎ残しが多い部位なので入念に。

頭皮マッサージの効果と方法

頭皮マッサージは血行を促進し、毛根に栄養を届きやすくする効果があります。花王の研究では、4分間の頭皮マッサージを6ヶ月間続けた結果、毛髪の太さが有意に増加したという報告があります。

やり方はシンプルです。

  1. 側頭部 — 耳の上あたりに指の腹を置き、円を描くように10回ほど揉む
  2. 頭頂部 — 頭のてっぺんに向かって指を移動させ、同様に揉む
  3. 前頭部 — 生え際から頭頂部に向かって引き上げるように押す
  4. 後頭部 — 首の付け根から頭頂部に向かって揉み上げる

1回3〜5分を目安に、朝晩2回行うのが理想です。シャンプー時に組み込むと習慣化しやすくなります。力を入れすぎると逆効果なので、「気持ちいい」と感じる程度の圧で行ってください。

頭皮マッサージ用の器具(電動スカルプブラシ等)も市販されていますが、指で十分に効果があります。大事なのは道具ではなく「毎日やること」です。

生活習慣で見直すべき4つのポイント

1. 睡眠

髪の毛の成長に必要な成長ホルモンは、深い睡眠(ノンレム睡眠)のときに分泌されます。慢性的な睡眠不足はヘアサイクルを乱す原因になります。6〜8時間の質の高い睡眠を確保しましょう。特に入眠後3時間の深い睡眠が重要です。

2. 食事

髪の毛の主成分は「ケラチン」というタンパク質です。タンパク質の摂取量が不足すると、髪の成長に直接影響します。肉、魚、卵、大豆製品を毎食取り入れましょう。また、亜鉛(牡蠣、牛肉、ナッツ)、鉄分(レバー、ほうれん草)、ビタミンB群(豚肉、バナナ)も髪の健康に重要な栄養素です。

3. ストレス

過度のストレスは自律神経を乱し、頭皮の血行を悪化させます。また、ストレスが原因で一時的に大量の抜け毛が起きる「休止期脱毛症」もあります。完全にストレスをなくすのは現実的ではありませんが、定期的な運動や趣味の時間など、自分なりのストレス解消法を持っておくことが重要です。

4. 紫外線対策

意外と見落とされがちですが、頭皮は体の中で最も紫外線を浴びる部位です。紫外線は頭皮にダメージを与え、毛根の機能を低下させます。外出時は帽子をかぶる、頭皮用の日焼け止めスプレーを使うなどの対策を心がけてください。

医療機関に相談すべきタイミング

セルフケアを3〜6ヶ月続けても改善が見られない場合、あるいは以下に該当する場合は、医療機関への相談を検討してください。

相談先としては、皮膚科が基本です。AGAが疑われる場合はAGA専門クリニックも選択肢になります。近年はオンライン診療に対応したクリニックも増えており、通院の負担なく治療を始められるケースもあります。

AGAの治療薬として一般的なフィナステリド(プロペシアの後発品)は、月額3,000〜6,000円程度で処方されます。「薄毛治療は高い」というイメージがありますが、初期段階で始めれば維持療法としてはそれほど高額ではありません。ただし、保険適用外(自由診療)のため、クリニックによって価格差があります。

まとめ

抜け毛ケアの基本をおさらいします。

  1. 1日50〜100本の抜け毛は正常。短く細い毛が増えたら注意信号
  2. シャンプーはアミノ酸系を選び、予洗い→泡立て→指の腹で洗う→十分にすすぐ
  3. 頭皮マッサージを1日2回、3〜5分ずつ習慣にする
  4. 睡眠・食事(タンパク質・亜鉛)・ストレス管理・紫外線対策の4本柱を整える
  5. 3〜6ヶ月のセルフケアで改善しなければ、皮膚科またはAGA専門クリニックに相談

抜け毛対策は「早く始めて、地道に続ける」ことが最も効果的です。高額な育毛剤に頼る前に、今日のシャンプーの仕方から変えてみてください。基本を正しく積み重ねることが、結局は一番の近道です。